LOVEの「今日ここライブ」が相馬に行くという事

 LOVE × 渡辺俊美(アーティスト) LOVE × 渡辺俊美(アーティスト) 「音楽で街と街をつなぐという事」

3. 7年目も変わらない「音楽の役割」

3. 7年目も変わらない
    「音楽の役割」

L:みんなでできるライブ、といえば。俊美さんにはアイデアすでに貰ってるんですよ。この前の東京プレライブで「LOVEちゃんこれやろう!」って言ってくれたTHE BLUE HEARTSの「青空」を、次回の相馬の今日ここライブでもやりたくて。地元の高校のブラスバンド部に参加してもらおうと、今ブラスアレンジしてるんです。
T:「SOMA BLUE」に、「THE BLUE HEARTS」の「青空」!最高じゃないですか。
(2018年1月16日、東京プレライブ南青山
MANDALAにて。「青空」のセッションも。)
L:ありがとうございます。俊美さんがこの間ずっと「青空」を歌い続けている理由が、ちゃんとあるんですよね?
T:実は以前、僕の地方ライブに、福島県から別の地域に避難している親子が来てくれたんですね。そのときにお母さんから、息子さんがこれまで2回転校していて、その理由が「放射能」というあだ名をつけられたからなんだって聞いたんですね。いじめ、だよね。3つ目の学校に転校するときには、「福島県から来たって言わないようにしましょう」と提案されてしまったみたいでね。
L:ああ、辛い。
T:うん。お母さんに「この子、元気づけてやってください」と頼まれたので、「青空」をセレクトしたの。サビの歌詞には"生まれた場所や皮膚の色による差別をなくそう"というメッセージが込められているよね。やっぱり、異性や異なる人種をちゃんと尊重できてこそ大人だし、ラブ&ピースですよ。俺は福島県の子どもたちにそれを歌った。ちなみに次の年のライブには、その息子さんが元気な表情でまた来てくれたから「ああ良かった」って思いましたよ。
L:私もこのイベントをやっていて、「支援される人・する人」のボーダー、同じ福島県内でも「補償がある人・ない人」のボーダー、とにかくいろいろなボーダーが見えてきたんです。その上で、私も自分の立ち位置を間違えないようにと意識していて。私が「支援する人」と見られることはわかっていますが、私自身は「支援される人・する人」の中間にいるご縁つなぎのメッセンジャーだという気持ちで、今日ここライブを主催しようと心がけています。とにかくボーダーのないイベントを作りたいんですけど…難しいですねえ!
T:家族だってそうだけど、他人と他人も、そうね〜。でも、つなげるにはハートしかないです。そして、そのきっかけを作るのが音楽の役割。僕らはライブやイベントできっかけを作って、あとは見守る。あくまでもきっかけを作るのであって、無理に結果を追求しなくていいと思うんです。世の中を簡単に変えられるのなら本当に変えたい。けど、すごく影響力あるミュージシャンだって、そんなに簡単に世の中は変えられないでしょ。
L:そうですね、あのジョン・レノンだって。
T:努力したけれど差別や戦争、なくなってないんだから。だからこそ、俺たちはきっかけ。
L:震災から1年目と7年目の今ではまた違いがあるかもしれないけど、音楽のその役割は変わっていないって俊美さんのおかげで思えます。
T:自分が正しいと思ったことを押し付けるのは、ちょっと違うと思うんだよね。批判的なことを言うのではなく、「そうだよね〜」ってまずは物事を肯定するところからだよね。それが、歌になればいいかな。
L:次回の今日ここはそういうライブにしましょうね。もちろん、音楽的にも最高のイベントに!今日ここライブは、歴代、爆笑シーンも結構あったし。
T:そうですね。「これはずっと暗くやんなきゃいけないの?」みたいなのもあったでしょ。そういうトーンじゃなくてね。だから今回も、楽しく笑って終わりたいよね。お互い寄り添った中で友だちになって、最後は「また会おうね!」って、言えるようなイベントにしようね。